2012年1月9日月曜日

"Sugar" Problem 糖尿病×インド農村

こんばんワニ★


これ、年末の写真なんだけど。

バスで大学からNilakottaiに行くルートはいくつかあって、そのひとつはバス通れんのか?みたいな細い道を通り小さな村の中をずんずん突き進むヤツです。

実はこの村のいくつかは私がインターンをしていたNGOが支援をしているところで、去年私がいたときに苗木を配ったりしたんだよね。

そんな村のひとつを大晦日に通りかかると、なんだかいつもとちがった雰囲気であちこちデコレーションをしている。年末年始だから?と思ったけど、人の多さがハンパない


どうやら、テレビか何かの撮影をしていたみたい。音楽を演奏するのをカメラで撮影。ひと通り終わると芸能人?みたいな人がでっかい扇風機の前で涼んでる。


奥に見えるのがカメラ…


でも何でこんな田舎で撮影をしてたんだろう。結局何の撮影だったかもわからないのでナゾです。

おもしろかったのは、バスの運転手さんがバスをこの前で止めて、何分も見物していたこと。で、乗客は誰も文句言わずみんなじっと外を見ている

急いでたら私ブチ切れたかもしれないけど、年末、こんなのもまぁいっか。と思った。


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これもちょっと前の話になっちゃうけど、11月14日は世界糖尿病デーという日でした。知ってますか?この糖尿病デーがなんぞやという話ではないです。


12月の新聞The Hinduの記事中国がインドを抜いて世界一番の糖尿病国家になったというもの。

糖尿病人口 中国9千万、インド6100万、アメリカ2370万、ロシア1260万、日本1070万

でもこれって人口XX人当たり、とかではないので、人口世界第1位第2位の国がこのランキングの上位にいるというのは別にフシギではないと思うのだけど。

人口で割ると中国6.7% インド5.2% アメリカ7.7% ロシア8.9% 日本8.4% アメリカ7.7%

になるので、ロシアじゃん…一番…みたいな。

けれど、中国に抜かれようがロシアに抜かれようが、貧困が問題になっているインドでも糖尿病人口が増加していることは確か。

糖尿病って生活習慣病→食生活が原因→食べものに困ってる人は関係ない?なんて思ってしまうのだけど。

(以下、生活習慣が原因で糖尿病になったという視点で書いてます。遺伝で糖尿持ち、の人たちのことはわからないので…)

私がインドの糖尿病問題について学んだのはおととし(もうおととしなんだねぇ!)3ヶ月インターンしてるとき。

寝泊りしていた村Veelinayakenpattiではホストファザーもホストマザーも糖尿もち。お世話になったNGOのCも糖尿もち。Nilakottaiの病院に行けば、来る人来る人糖尿の数値を測っている。

都市部のことはわからないけど、私は農村部の糖尿病の原因はこの貧困そのものにあると思っています。

インドの飲み物といえば、ティー、チャイ、ですよね。インドに来たことがある人は必ず一度は口にすると思う。甘い。砂糖たっぷり。お茶の香りなんかなくても、牛乳の割合が少なくて水っぽくても、砂糖はガッツリ入ってる。

もともとインドでお茶を飲むという習慣はなかった。イギリスが中国から持ち込んで栽培する(させる)ようになり、イギリス式のミルクティーがインドの生活にも広まるようになった。イギリスはボロ儲け、そしてインドの人たちはスパイスを入れたりして独自のお茶文化を形成した。

ティーだけではなくて、インドのおやつはやったら甘い。「舌がしびれるくらい甘い」という表現をよく聞きますが、ホント。食べててウエッてなることもしょっちゅうあります。インドネシアでもやたら砂糖にはお世話になったような。

今ちょっとググったら、サトウキビから砂糖を最初に作ったのはインド人だったって出てきました。砂糖の発明者じゃんねぇ。三角貿易で砂糖を作ってたのは「西インド」諸島だけれど、インドでも昔から砂糖、作ってたんだね。

で、今は世界第一位の砂糖消費国だってさ。たくさん作っていたとはいえ以前は「高価なもの」だった砂糖。生活水準がちょっと高まってこれが手に入るようになったらバンバン買う、って感じ?なので、「今まで買えなかったものが買えるようになったから買う」というメンタリティは、「貧困」(からの脱出、だけれど)に根付いていると思うのね。

生活水準が高まって、車やバイクで移動するようになって、体を動かすことが減れば、それも原因になるしね。

それと、タミルナドゥにおいて糖尿患者が多いのは、私は貧困×政府政策、のせいだと思ってます。

州政府の政策で、貧困層も食いっぱぐれないように米を1キロ1ルピーで販売するというものがあります。前の州知事Karunanidhiが2008年に打ち出した政策で、これで彼の株があがったと思ってる人は多い。それまではキロ当たり3.5だったり2ルピーだったよう。かなりお買い得!になったわけね。日本だと安くても1キロ200円くらいはすると思う…けど

今まで買えなかったものが買えるようになったから買う」。だから朝から晩までみんな米を食う。

朝はお米の粉からつくるイドリー→
昼はサンバルやカードで米三昧、→
夜はトマトライスやレモンライスなど味つけ米系、

なんてのが当たり前だったりする。これに朝昼晩のティー、野菜はちょーーーーーーーっとだけ、だったらいくらお腹いっぱいでも栄養基準満たしてるのは炭水化物だけ、でしょ。

昔は米だけではなくて栄養価の高くて米より安い雑穀を農村部の人は食べていた。これは日本でも同じだよね。お米の前はあわやひえを食べていたはず。今このへんでひいおじいちゃんひいおばあちゃんくらいの人たち(70代以降かな)は、足腰も強くて50-60代の人たちより健康だったりするのです。

それと州政府はテレビを各家庭にタダで配ったのよね。農村部でもテレビがない家はない。以前は近所でおしゃべりしていた人たちも今は家にこもってテレビを見ている。仕事がなければやっぱりテレビ。運動量は激減したと思う。

貧困×よかれと思ってやった政府政策の結果、農村部の人たちの健康が悪化。米が安く買えるようになっても、それを相殺しちゃうくらい糖尿病治療にお金を使っている。意味ナシ!

Veelinayakenpattiに行って、大好きなファミリーに会えるのはとてもうれしいのだけど、"Sugar problem"のせいで、インシュリンの注射がころがっているのを見たり、痛みがひどいと足をさするのを見たり、昨日は症状が悪くなって眠れなかったのという話を聞くと、本当に心が痛むのです。

まぁ、みんながみんなこの糖尿病問題をほうっておいているわけではなくて。たとえば、Mさん情報によると糖尿病患者が食べられるような砂糖なしアイスがあったり、砂糖を減らして体にやさしい雑穀を使っているビスケットがあったり、健康志向をねらったマーケティングをしている企業は増えているようなのね。友人Cも糖尿持ちにやさしいragi(シコクビエ)をとりいれた食事を摂るようにしているようだし。

でもまだ農村部の人はあんまり問題を問題視していない気がする。糖尿病でもやっぱりティーはかかせないと考えているようだから。



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