2012年7月15日日曜日

13本のかんざし What Happened Happened

こんにちワン


昨日はやっぱりよく眠れなかった。いろいろなこと考えていたらなぜか自分の昔のこととかも思い出されて、それにうちの寮にはユーレイがいるなんてことまで考え出して、眠れず。

今朝は今朝で、外で車の音がするから飛び起きたら、ケララナンバーの車から男性が出てきて寮生と話をしている。もしかしたら彼女のお父さんなんじゃないだろうかと思って、部屋からこっそり見てました。

彼女に関する新情報は朝から何も聞いてません。昨日「どうなってるの」と聞かれたAが「ちょっとほっておいてよ!」と言ったらしいので、ちょっと事態が落ち着くまでいろいろ聞いて回るのもよろしくないかと思う。


さて。

昨日はおとなしく本でも読んでればいいものの、中国で超話題になった映画(日本未公開)を観てしまいました。落選したけど今年のオスカーの外国語映画候補だったようです。

その映画とは金陵十三釵。アメリカではThe Flowers of Warというタイトルで去年公開されたようです。


私のインドウェブログなんか読んでいただいている皆さんの中に「あぁ」とピンとくる中国映画好きの方がいるのかはわかりませんが。

金陵とは昔の南京の呼称。釵というのはかんざしのことで、かんざしに似た「さい」という琉球の武器の名前でもあるそうです。

これで「あぁ」と思う方はいるでしょう。

そう、この映画はいわゆる1937年の「南京事件」を題材にした映画です。


日本で未公開だし、これから公開されるかもわからないので、プロットを簡単に書きますね。

…と思ったけど簡単に書けそうにないので、公式サイトからいただきます:

ストーリーは南京の路地からはじまる。日本軍の侵攻の中、攻撃を避けるためにキリスト教の聖堂に逃げてきた、さまざまな事情を抱えた人びと。カトリックスクールで学ぶ女生徒たち。娼婦のグループ。そしてこの教会で亡くなった神父を埋葬するためにやってきたアメリカ人葬儀屋。葬儀屋ジョンは、この教会の神父のフリをして、日本軍から自分自信を守ろうとするが…。娼婦たちに対する偏見は女生徒との葛藤をうみだすが、日本軍に教会を包囲されつつも、次第にジョンと娼婦は子どもたちを守るために協力し合うことになる。

※葬儀屋というか、本当は死に化粧をする「おくりびと」みたいな感じかも。

教会を包囲した日本軍(戦闘員がいないので日本軍が教会を襲撃することはないと約束する)は中に生徒がいるのは知っているけれど、娼婦たちがいるのは知らない。そのうち、日本軍が南京を攻略したのを祝う「パーティー」に、コーラス隊として少女たちを招待したいと日本軍が申し出る。これはつまり、いわゆる慰安婦としてオンナノコたちを差し出せということ。すでに日本軍に強姦未遂されているオンナノコたちは「そんな苦痛に耐えられるかボケ」と投身自殺をしようとするが「私たちが代わりに行くから」と娼婦たちが申し出る。

オンナノコたちのひとり、シューのお父さんはシューを助けるために日本軍を助けるふりをして、南京にとどまっている。南京から脱出するための「許可証」を入手したお父さんはシューの命をジョンに預けることになる。でも事情を知らないシューは、お父さんが寝返った「売国奴」だと罵る。

そうして、娼婦たちが女生徒のふりをするためのメイクオーバー(ここでおくりびとの化粧テクが発揮される)と、オンナノコたちが教会を抜け出し南京を脱出する作戦が同時進行する。

てなとこですかね。。。


なんでもこの映画、中国映画史上いちばんお金を使ってるとかで、冒頭から中盤にかけての日本軍進攻のシーンは、Saving Private Ryanのノルマンディー上陸シーンの浜を全部ドッカーンみたいなスケールはないにしても、スナイパーの攻防など息をのむような時間が続きました。

女生徒たちの表情の撮り方、教会のステンドグラスの使い方、美しい娼婦たちの撮り方などすばらしいシネマトグラフィーだったし。

監督は張芸謀(チャン・イーモウ)、「Hero」なんかを撮っている人ですね。さすが金の使い方は知っているよう。

実は昨日観る前にVLCのアップデートをしていたので、その間に「日本では未公開だけど何かのつてで観た日本人の感想」をあちこちで読みました。なんでかって?そりゃぁ中国ではこの題材を取り扱った映画は賞賛されるだろうけど、日本の人がどう感じるのか先に知りたかったから。

大学のときに中国の外交政策について学んだときに、これもやめときゃいいのに「日本の教科書問題と中国側の反応についてレポート書きたいです」なんて言っちゃったもんだから、根掘り葉掘り文献を読んだのね。だからこの手の話題は今でも気になるのです。慰安婦の問題、日本軍による人体実験、残留爆弾などなど、日中もしくは日韓未解決の問題はたくさんあるじゃないですか。

結果、やっぱり賛否両論だったら日本の人は否、だろうね。原作を読んでいる方なんかは比較もしていてなるほどねと思ったけど。「アメリカではあんまりウケなかった」というアメリカでのレビューをやたらと引用している人も多かったかな。まぁ、日本では観られないんだから仕方ないけれど。私には未知の世界である2chも、のぞいてみると、右派の方と左派の方の攻防戦でした。南京での出来事自体なかったと言う人も多いようだし。。。

私はというと、実際の被害者の人数は何であれ、日本軍が残忍な行為をしたことは南京に限らずアジアのあちこちであった事実だと思っています。生き証人がいるのに「そんなことは絶対なかった」なんて言うのは間違ってるって思う。「クメール・ルージュは殺してない」って言うようなもんで。起こったことは起こった。だから日本政府は何らかの形で責任を取らないといけないと思ってますよ。どんな形かはわからないけれど。

人数は関係ないんです。人数が少なかったらEthnic cleansing(民族洗浄:ホロコーストの類)や集団強姦をしていいかと言ったら、そうじゃないでしょう。南京での犠牲者が20万じゃなくて2万だったからどうってことない、なんて言えないでしょう。慰安婦の問題についても、まだまだ政府は認めないようだけど、軍人が日本軍の方針として(これがホントが出まかせであるにしろ)女性に甚大な被害をもたらしたのがひと握りのケースだとしても、そう伝えられて連れていかれた女性は存在したのだから。

で、映画の話だけど。

最後まで日本軍の残忍っぷりばかり見せつけられるのかと思ったけれど、戦闘シーンと教会の静かなシーンとのメリハリがあった。なおかつ日本軍が最初教会の中に入ってきてしまってオンナノコたちが逃げまどうシーンはとても恐ろしいけれど、ひとりの日本人として、ひとりの女性として、私は観なくてはいけない箇所だと感じた。

これはいち日本人の私がわなわなと怒りを覚えるくらいなのだから、中国の皆さんにとってはとっても見るに耐えないシーンだと思う。実際、映画を観た中国人歌手が「日本人、くそったれ」と中国版ツイッターに書き込んだそうなので、その怒りいくばくか。ちなみに、「釣魚島に触れようとも思うなよ!」とも言ったそうですが、野田内閣は釣魚島(=尖閣諸島)国有化しようとしちゃってますよね。。。まぁ、これは別件です。

爆弾かかえて日本軍の集団に飛び込んでいくのとか、敵の手を逃れて集団自殺をしようとすることなんて、日本人もやっていたんですよね。他の国でもあったことなのだろうけど、映画で観たことはなかったから、史実はどうなのか知らないけど、勉強になった。

でもどなたかも書いていたように、中国人のスナイパーくんのからみがイマイチよくわからん。。。というようになんだか中途半端なキャラクターが何人も出てきたような気がする。

そのひとりが、我が日本が誇る大俳優渡部篤郎氏であります<3 高校生のときから大好きな渡部さんがこの映画に出ていることも全く知らなかったけれど。この映画では日本軍が教会に入らないように約束する長谷川大佐を演じていて、バットマンChristian Bale(ジョン)を食っていた。マジ。なのにーなのにー意味の分からない「ふるさと」演奏シーン。。。いや、渡部さんの歌声が聴けたのはありがたかったですよ。でもなんでここで?終盤とかじゃなくて?みたいな。

まぁでもこれで、この演技で注目されて、渡部さんが世界進出してくれるとありがたいもんだ。

中途半端ではないのだけど、主役のふたり(ジョンと娼婦リーダーのモー)が自分の過去を後半あっさり話してしまうところと、いい感じになってしまうというのもなんだかなぁと思った。けど、二人がくっつくかないとアメリカとかではウケないのかしらね。ジョンが数日で酔いどれからいい人に変身するのも、心境の変化をもうちょっと丁寧に描いてほしかった(目の前でオンナノコが一人亡くなったというのはキーだっただろうけど)。ちなみにモーを演じる倪妮(ニーニー)さんはべっぴんさんです。女学生に化けて最後連れて行かれるとき、ニッコリ笑うのがこの人にちと似てるかなと思った。

やっぱりこうムズカシイ問題を、原作と兼ね合わせながら2時間にまとめて映画にするのはとっっっっってもムズカシイんでしょうね。Hero作った人でも。




え?インドの話はって?笑


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